【読書日記】決断の条件

決断の条件 (新潮選書)会田雄次)」を読む。西洋史学を専門とする著者による、決断に関する指南書。マキャヴェリ韓非子、孫氏といった偉人の言葉をもとに、著者の解釈によって見事な見解として昇華されている。


これがなかなか面白い。決断をすることで生まれる副産物や抱えるもの、犠牲となるものなどまで目が配られていて、単なる表面的な技術論・上っ面な評論ではないところが大変新鮮である。


初版は昭和50年代ということで、冷静な現状認識や意思といったものによらず、「一生懸命」が尊ばれ、それまでの時流に沿って物事が決まっていく傾向が強かった日本社会に対する警鐘として出版されたのだろうが、グローバル化に飲みこまれ欧米流の意思決定をする機会が増えた現代日本においても示唆に富む見解が多い。決断を下すということの本当の意味が何なのか、ここまで考え抜くということはあまりしてこなかったな、と目をこじ開けられたような、そんな一冊です。


意思決定を下す立場のすべての人にお勧め。