ベンチャー企業であるためには「変革」し続けなければいけない。そうでなければ単なる中小企業に終わってしまう。僕たちには夢がある、目標がある。こんな現在の状況で立ち止っていることは本意ではない。
「変革」は人が起こすものだ。だからこそ、組織全体が「変革」マインドになるようにと、2月から隔週で「変革リーダー育成」を目的とした読書会をすることとした。毎回課題図書が出て、参加者はそれを一通り読み、自分の見解を持って議論に参加する。議論を通じて自分の意見と他人の意見を戦わせて、より高いレベルの学びに昇華させようというのがその目論見だ。
第一回目の課題図書は松下幸之助の「リーダーになる人に知っておいてほしいこと」。
言わずと知れた日本を代表する経営の神様である松下幸之助の著書だ。松下政経塾の塾頭でもあった松下幸之助氏が、塾生の前で語ったものが文章化されているもの。書かれている内容自体はわかりやすく、当たり前の事、良く聞くことに一見みえるかもしれないが、変革を起こすリーダーに求められるメッセージとして、その言葉の意味を深く考えるとそんなに簡単なことを言っていないということがわかる。
たとえば、こんな話。
一事に成功すれば万事に成功する。一事に成功できない者が、あせって万事に手を出しても早々成功するものではない。まずは成功のコツをつかむまで努力をやめない。そして、使命感と気力。この二つなくして真の成功はない。 43P
物事は出口の見えないトンネルのようなものだ。前に向かって歩いていればいつかは出口が見つかる(と信じている)。でも、出口が見える前にあきらめて別のトンネルに入る人も多い。そちらのほうが早く出口が見つかると思って・・・
苦しくても信じて進むこと、工夫をして早く出口を見つけること。そのために、使命感と気力を持って執着すること。結果としてはそれが一番の早道だったりするのだろう。
腹の底から得心できないことが世の中のほとんどである。だから、適当なところで結論を出さないといけない。その説明のできない一種の悟りの境地で「適当なところ」を見極めることが肝要である。 110p
物事を完全に納得するまで極めるのはほぼ不可能。その前に時間切れになるし、労力も多大にかかってしまう。だからおぼろげに大局が見えた段階で決断をする。
まだ完ぺきではないという段階でも決断を下す勇気、そして下した決断によって起こりうる結果に果敢に立ち向かう覚悟。それを踏まえての「適当なところ」ということが重要。
この手の教えというのは、書かれていることをありがたがって読みとおすだけではだめだね。やはり自分なりに解釈し、咀嚼し、自分の腹に落とさなければ。よって、自分が置かれている立場や状況によっても大きく松下翁の言葉の感じ方が異なるのだろう。何かあったときに読み返してみたい一冊です。
- 作者: 松下幸之助,松下政経塾
- 出版社/メーカー: PHP研究所
- 発売日: 2009/03/24
- メディア: 単行本
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