■嫌われない≠好かれる

当社は楽天にもお店を出しているが、そこではお客さまからのお店に対する評価というものが「店舗レビュー」という形でフィードバックされる。


当社の評価は5点満点中4.67点。特に当社が大切にしているホスピタリティに該当する「スタッフの対応」で4.71点、商品がなくなって困っている人たちにも早くお届けしたいという物流面の評価項目である「配送」で4.77点。手前味噌であるが、なかなかのスコアである。


とはいえ上には上がいるのも事実。実際ペット関連のショップで当社よりも高いスコアを持っている店の中身を見てみた。他社さんを見ると、確かに当社ももっと努力しなければいけないな、と真摯に思うこともたくさんある。特にネット通販のインフラ周りは急速に進化しているので「スピーディ」「正確」「便利」という点で後れを取るのは命取りになる。


ただし、だ。
弱いポイントを修正したからといったからといってお客さんに好かれるようなお店になるとは限らない。「嫌われないお店」を作ることはできるかもしれないけれども、熱狂的なファンが存在するようなお店にはなることとは同義ではない。というより、「嫌われないお店」は決して「熱狂的なファンがいる」お店にはなれないだろう。


熱狂的なファンがいるようなお店とは、実はその半面でそのお店を嫌いだ、敬遠する、という人も多数存在するようなお店だ。個性があって、特徴があって、だからこそ特定の人を引き付ける。1割の熱狂的なファン以外は6割のニュートラルなお客さんと、3割の敬遠者、アンチがいる、そんな状態だ。点数をつければ5点かもしれないけれども、「問題はなかったです」で5点をつけるような店ではなく、「愛犬の調子が悪かったので◎◎さんに相談に乗ってもらいました。本当に助かりました。ありがとう!」というコメントで気持ちとしては5点+αをつけるような店だ。


アップル社初期のエバンジェリストであったGuy Kawasaki氏は「Polarize People(好きか嫌いか、両極端に評価が分かれるようなものを作れ)」と述べているが、その理由として、強烈なファンはその店を使い続け同時に育ててくれる、また同様の趣味を持つ人たちを誘って来店してくれる。それこそが最大の武器であり、成長のエンジンだ、ということを挙げている。


ソーシャルメディア時代においてはRTされるもの、「いいね!」を押してもらえるもの、要は共感されるメッセージが拡散する。そこに乗るものは「その辺にある、好きではないけど嫌いでもないもの」では決してないのだ。すると我々がトラッキングすべきは平均点ではなく、強烈なファンが何人いるか、ということのほうが重要になってくるのだろう。