■アメリカ出張記

韓国出張に引き続き、今度は10日より1週間の予定で北米(アメリカ・カナダ)に出張に行ってきた。今回の出張の目的は、当社が日本における総代理店契約をしているペットフードメーカーを訪問し、上半期のレビューをするとともに、現在抱えている課題をどのように解決するかという、定期的に行っている会議を行うためでもある。



予定に若干の余裕があったので、今回は第一の交渉企業のあるセントルイスに乗り込む前に、これまでずっと気になっていたお店「Only Natural Pet Store」を訪問することとした。このお店、当社と同様、ペットのためのホリスティックケア商品をネット通販とコロラド州ボルダーにある店舗にて営業活動をしている会社であり、創業6年で最近ビジネスを大きく伸ばしている、業界の中でも注目されている企業である。会社の規模観、目指すべき姿、顧客ターゲット、品ぞろえの選択基準など、当社と非常に似通っており、私もずっと注目していたのだが、メールを送って会いたい旨を伝えると、快く承諾の返事が返ってきた次第である。


まずは本社に伺うと、そこではOnly Natural Pet StoreのCEOであるMartyとマーケティング担当のDiannが出迎えてくれ、さっそくお互いの会社についての自己紹介を行った。会社の創業の経緯やターゲット、目指すべき姿が似通っているのは先ほど述べた通りだが、話を聞いていると、非常に戦略的に合理的であることが分かってきた。


一般的にペットフードというのはネット通販との親和性がよいというのはよく知られているが、それは「買う銘柄が決まっていて、どこで買っても同じだが、重いので家まで運んでくれるのが便利」という消費者便益に基づくことによる。しかし、もう一つのネット通販の特性、つまり「近所のお店では売っていないものが、そのネットショップに行くとワンストップで揃う」という便益が結構無視されがちだ。Only Natural Pet Storeは両方の便益を訴求しながらも、特に後者、つまりペット用のサプリメントフリーズドライフードといったエッジの効いた商品の品ぞろえを究極まで揃えることで、全米各地のハイエンド・ユーザーからの注文を得ている。大手ペットショップも一通りのナチュラルフードを品ぞろえに加える傾向が強まる中、中途半端にいい商品を揃えていても競争優位にはならず、価格訴求力などで資金力のある会社の遅れをとることもある。Only Natural Pet Storeはそれを嫌い、大手が手を出しにくいセグメントで圧倒的な存在を示すことで競争優位性を示そうとしている。ニッチ型ではあるがネットショップの戦略としては極めて合理的だ。


その後Diannの紹介で4マイルほど離れたところにある実店舗を訪問した。平日の昼間だが、ひっきりなしに常連さんと思われるお客さんが訪問するお店だ。出迎えてくれたChristinaとMorganという二人のアルバイトさんにいろいろと話を聞くと、特徴的な品揃え以外の強みとして「人の力」もあることがだんだんわかってきた。ChristinaとMorganは、アルバイトとして採用されるとすぐに150ページほどの研修資料を渡され、商品知識、動物の生体に関する知識を勉強させられたとのこと。1か月ほどひいひい言いながらも、一通りマスターすると、お客さんのニーズに合わせて商品提案ができるようになり、それがお客さんの信頼を捕まえているということだ。


(店内に入ると、まず一面のサプリメントコ−ナーが出迎える・・・衝撃的!)


そうした知識面だけではなく、二人とも来店するお客さんの名前とペットの名前、前回買った商品をよく覚えており、それをもとによく会話をする。Christinaによれば、この店は単に商品を買う場所なのではなく、ペットを愛する人が集うコミュニティのようなものだ、とのこと。これも当社がFGI等を通じて「いい店とは何か?」と考えてきた結論と似ている。国外出張するたびにいろいろとペットショップを訪問するが、初めて「これは素晴らしい!」と思うお店に出会えた気がする。それくらいいい会社訪問となった。


今当社がやろうとしていることはアメリカにおいても成り立つモデルであることを確認するとともに、その領域で先に進んでいる会社があることを発見できたのは非常に意義深かった。