■韓国出張記

この月曜日・火曜日と急きょ韓国出張に行ってきた。

とある韓国企業がペット事業を始めようとしているのだが、世界中にベンチマークを求めてストアチェックする中、当社の東京ミッドタウン店のコンセプト、品ぞろえ、VMDに強い興味を持ってくださり、店舗マネージャーを通じて私にコンタクトがあったのが事の始まり。何度か電話で会議を繰り返す中、提携する内容がいよいよ具体的に詰まってきたため、一度会って話をしようということになったわけである。我々も韓国のペット事情はまったく知らないし、将来的にアジア諸国に展開するためにも今のうちから市場を見ておくのは有意義だと思い、四半期ごとに開催する全社会議と来週のアメリカ出張との間を縫って弾丸ツアーを組むこととした。




韓国のペット市場は、一昔前の日本のペット市場を見ているようだ。市場規模は統計上では日本円換算で700億円程度と言われているが、ペットの世帯飼養比率が17%ということを考えると実際はもうちょっと大きいかもしれない。いずれにせよ爆発的に成長する予兆を見せながらも、まだ強大なプレーヤーがいない、というのが現状のようだ。

韓国におけるもっとも主流の小売形態は、いわゆる「獣医」さんが物販やグルーミング、ホテルなどのサービスを付け加えてやっている、という形態。獣医さんはどの国においても飼い主にとって最も信頼される存在であり、その信頼に基づいてフードやサービスを提供するというのが一般的だが、その事情はそのまま韓国の事情にも当てはまっている。ただしどのクリニックもメインとなる商売は獣医であり、その他の物販・サービスは3割程度の売上しかあげていない。よって必然的にその部分に関する焦点の当て方は薄くなるし、いくら獣医と言っても食やケアについての専門家ではないから、結局消費者が自分たちで判断し購入することになる。この辺の事情もかつての日本のペット市場とよく似ている。







幾つかの店を回って感じたのが、「Made in Japan」に対する絶大なる信頼。日本においてはLow Tierに属する商品群も、欧米の高級ブランドと肩を並べ、またこれがお客さんに売れている。店の方にお話をお伺いすると、「中国製や韓国製よりも日本製のほうが商品の品質に対する安心感がある」とのこと。中には韓国製の商品だけど、パッケージ表記が日本語で、さも日本製のように見せているような商品も多数あった。日本と同様ペットが家族の一員になる中、飼い主は与える商品の安全や品質面を重要視するようになっている。そしてそれを獣医のお墨付きで得ようとしている。その一方、身近なところに信頼できる相談相手を求めようとしている。まさに当社がこの市場に入った時の状況に極めて似ている。




2日だけの出張なので、市場を深く見れたわけではないが、タイムマシンで過去に戻ったような市場状況を考えると、この市場の成長性も、戦い方もなんとなくイメージができる。この市場で本格的に活動を開始するのはそう遠い日ではないのかもしれない。