■事業計画に取り組む前提となるプリンシプル

現在事業計画策定の真っ最中である。


これまでも何度か事業計画を書いてきた経験はあるものの、今回は何かしら特別なものである気がしている。特別な理由というのは、それは今回が「リバイバルプラン」であること、誰かに見せるということが主目的ではないこと(正直な話、これまでは投資家や金融機関からの資金を引き出すための事業計画書というものが大きかった)という点であろうか。誰か外部の人を説得するために作るものではないから、本当に正直に自分たちの今後のアクションを整理するという純粋な目的で作っている。


今回は事業計画を作る前に、4つのプリンシプルを決めた。


(1)現実を受け入れる 〜 見たい将来を無理やり見ようとしない
ベンチャーたるもの、可能性を信じるがゆえに存在意義がある、といったところは実際存在する。これまで積み上げてきたことを発展的に考えればいろいろな可能性が考えられるであろう。バラ色の世界を描くことは決して悪いことではないが、それだけだと足元をすくわれてしまう。重要なのは夢を見ながらも現状をしっかりと正面から受け止め、都合の悪いことに対して向き合うことであり、それを踏まえたシナリオを準備することだ。可能性はあるものの、その前提に無理はないか。無理があるとすると可能性として発生する悪いシナリオはどのようなものか。見たい将来を描くのもエキサイティングであるが、現状を客観的に見据えたうえで何が起こりうるか、その時にどのような選択肢が取れるかどうかを考える人間も必要だ。


(2)儲かる、儲からないで判断する
10年も事業をやってくれば思い入れや伝統・物語のようなものが少なからずある。それを正当化するために、「シナジーが期待できる」「苦労してここまで来た」などのいいわけが生まれてくる。これらはすべて判断を曇らせる言葉である。ビジネスなのだから、儲かるのか、儲からないのか、が最も重要な判断基準となるべき。それを最初に検討したうえで、戦略的な意図を考えたらいい。それなくして判断することはやめる。


(3)目的と手段を混合しない
(2)とも似ているが、ともすると手段を目的化してしまう。例えば「新規事業をする」ということで「雇用を確保する」ことを期待する。でも本来雇用を確保するために新規事業をするのではなく、新規事業を成功させるために必要な人材はどのようなスペックかを考えるというのが筋だ。これは単なる事例であるが、往々にして何かを守りたいがゆえに大義名分を掲げるということにもなりがち。それは目的と手段を混合しているに過ぎず、経営判断としては稚拙である。


(4)シンプルに考える 〜 当社は「調達」「販売」「お届け」で成り立っている
経営資源の配分は、当社のビジネスモデルを構成する要素に絞り込むべきであり、実は絞り込む対象というのはシンプルに考えるとそれほど多くの要素にはなりえない。小売・通販をしている当社の場合は、「いかに顧客ニーズに合った商品を有利な条件で調達できるか」「商品を顧客の欲しい状態で、欲しいタイミングで、欲しい場所において販売することができるか」「顧客が納得いく形で手に取ることができるか」の3つしか構成要素はないはず。難しく考えるからこの要素から離れたところで仕事が生まれ、顧客からかけ離れた仕事が増えてしまう。


ピンチはチャンスだ。うまくいっている時は慣性でも事はうまく運ぶ。そうでないときにこそ考える機会が生まれるしブレークスルーが生まれる。プリンシプルに基づき、深く考え、最適解をシビアに選択すべき。今週末の経営会議が楽しみである。